呼吸器疾患
呼吸器疾患
呼吸器疾患とは、肺や気道におこる病気の総称です。
肺は、酸素を体に取り込んで二酸化炭素を排出する臓器です。気道は、口や鼻から肺につながる空気の通り道で、気管や気管支などと呼ばれます。外敵(細菌やウイルス、カビなど)が入り込みやすい場所ですので、感染症が発生しやすいのが特徴です。
さらに、タバコの煙や排気物質に直接さらされる場所になりますので、有害物質による炎症やアレルギー、がんなどが発生しやすいのも特徴です。
肺の機能が低下すると酸素を取り込めなくなり、体内の酸素濃度が下がって息苦しさやなど様々な症状を引き起こします。気管支が狭くなると空気の通りが悪くなり、息がヒューヒューいう喘鳴や、咳が止まらないなど様々な症状を引き起こします。二酸化炭素の排出が滞ると意識を失って命に関わることもあります。
当院では、呼気NO検査機やスパイロメータなどの専用機器を備えており、呼吸器の病気の予防と早期発見、診断と治療、慢性期の管理などに力を入れています。地域の基幹病院とも連携しておりますので、必要時には迅速にご紹介することも可能です。まずはお気軽にご相談ください。
喘息(ぜんそく)とは、気管支などの空気の通り道(気道)が慢性的に炎症をおこして狭くなる病気です。
炎症で荒れた気道は、様々な刺激にとても敏感になっていて、タバコやホコリ、冷たい空気、ストレスなどの刺激に過剰に反応して、発作的に気道が狭くなることを繰り返してしまいます。
発作は夜間や早朝に出やすいという特徴があり、発作が起きると喘鳴(息がヒューヒュー・ゼーゼー鳴ること)や咳・痰が出て息苦しくなります。時に呼吸困難を起こし、命にかかわることもあります。
炎症をひきおこす原因としてはチリダニやハウスダスト、ペットの毛、カビなどのアレルギーによることが多いとされていますが、原因物質が特定できないこともあります。
喘息の診断するにあたって、患者さんの自覚症状、家族背景、既往歴、治療歴などの確認が何より大事です。以下のような症状がある場合は、お気軽にご相談ください。
問診で喘息が疑われれば、肺機能検査や呼気中一酸化窒素濃度(FeNO)測定検査を行って、気道に炎症がおこっていること、せまくなっていることを証明し、採血を行ってアレルギーが発生していることを証明します。
さらに胸部レントゲンや心電図を測定して、喘息以外の病気がないかも確認します。
当院では喘息の診断と治療に力を入れていて、これらの検査機械を全て院内に取り揃えていますので、速やかに診断をすることが可能です。
ぜんそくかな?咳が長く続くけど大丈夫かな?などと思われたらお気軽にご相談ください。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)とは、タバコの煙などの有害物質を長期に吸い込むことで気道の壁が分厚く硬くなったり、肺胞(気道の一番奥で酸素と二酸化炭素の入れ替えをする場所)の壁が壊れたりして、空気の流れが滞り、1回の呼吸で行える空気の出し入れが少なくなってしまう病気です。
このため、酸素の多い新鮮な空気をたくさん吸い込むことができず、体内の酸素濃度が常に低い状態となって息苦しいといった症状を引き起こします。初期の症状は、歩行時や階段昇降など身体を動かした時に息切れを感じる労作時呼吸困難や、慢性的に咳や痰が続くのが特徴です。
進行すると常に呼吸困難を起こし、日常生活に支障をきたして、酸素吸入が手放せなくなります。
重症化すると、慢性的な酸素不足のため各臓器に不具合を引き起こし、心筋梗塞、脳卒中などの心・血管疾患、筋力の低下、睡眠障害、逆流性食道炎、糖尿病、うつ傾向などをしばしば合併します。
また、二酸化炭素の排出も難しくなって体内に溜まるため、意識が傷害されたり血液の酸性度がおかしくなったりして全身に障害が現れます。
COPDの原因は、ガイドラインや教科書にもはっきりと「タバコ煙を主とする有害物質」と明記されています。
などといった症状のある方はCOPDの可能性があります。
COPDの診断は、呼吸機能検査で空気の出入りが少なっていることを証明する必要があります。
当院では、呼吸機能を簡単に調べることができるスパイロメータと呼ばれる機械を備え付けていますので、迅速な診断が可能です。検査にかかる費用は自己負担3割の方で約1,000円です。特に上記に該当される方は、自覚症状がほとんどなくても検査を積極的にお勧めしています。
現在のところCOPDを根本的に治せる治療法はありませんが、早期発見・早期治療により病気の進行を遅らせ、重症化を防ぐことができます。治療の第一歩は禁煙で、禁煙を守っていただいた上で吸入薬などを併用していきます。
肺炎にかかると重症化しやすいため、インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチン、コロナワクチンを接種しておくことが推奨されています。診断が遅れたり、禁煙が守れなかったりして進行してしまうと、持続的に酸素補給を行う在宅酸素療法が必要となります。持続して酸素を吸入することで心臓の負担を減らし、なるべく日常生活を楽に過ごせるようにしていきます。
肺炎とは、肺に炎症が起きる病気すべての総称です。
細菌やウイルス、カビなどの病原微生物を吸い込んで発病する感染性の肺炎と、薬剤やアレルギー、リウマチなどによって発病する非感染性の肺炎があります。多くの場合が感染性肺炎で、この数年コロナウイルスが猛威をふるっていますが、これ以外にも肺炎球菌やマイコプラズマ、インフルエンザなど様々な病原体が原因となります。
さらにご高齢の方は、食べ物や唾液が間違って気道に入ってしまうことで誤嚥性肺炎を引き起こすことが珍しくないですが、これも口の中の細菌が原因となることがほとんどです。一方で、非感染性の肺炎は多くはないものの、全身の隠れた病気の発見に繋がったりする場合もありますので、適切に診断することが重要です。
肺炎の典型的な症状は、発熱や咳、痰などですが、重症化すると息苦しさや胸の痛みなどを自覚する場合もあります。昨今コロナウイルスばかりに注目が集まっていますが、肺炎の原因は実にさまざまで、原因によって治療方針も大きく異なります。当院では、コロナ抗原検査でスクリーニングを行うほか、症状に応じてレントゲンや採血、尿検査などを行って原因検索に積極的に努めています。
また、診察や採血、レントゲン検査は、一般の患者さんと完全に導線をわけて対応させていただいていますので、安心してご相談ください。
肺がんは、文字通り肺にできる悪性の腫瘍です。
がん統計によると、男性でのがん死亡数のトップで、女性でも第2位です。原因として最も重要なのが喫煙です。「1日の喫煙本数×喫煙年数」の数値が大きいほど、肺がんになる危険性が高くなるといわれています。ただ最近、非喫煙者が肺がんを発症するケースも増えています。
肺がんの多くは、初期には発生部位にとどまっていることが多いといえますが、次第に周囲のリンパ節に転移したり、肺内の別の部位、骨、肝臓、脳、副腎などに遠隔転移を起こしたりします。一般的な症状としては咳、痰(しばしば血痰)、胸の痛みなどですが、初期には症状がないことも珍しくありません。定期的に健診を受けて早期発見に努めていただくことが大事です。
睡眠時無呼吸症候群は、大きないびきとともに睡眠中に何度も呼吸が止まる病気です。10秒以上呼吸が止まる「無呼吸」や呼吸が弱くなる「低呼吸」が、1時間に5回以上繰り返される状態をいいます。
睡眠中に低酸素状態となるため熟睡できず、睡眠不足の状態になります。そのため日中の強い眠気や倦怠感、起床時の頭重感などが現れ日常生活に支障をきたすこともあります。
さらに、こうした症状が毎晩、年単位で起き続けると、心臓の病気や糖尿病などの生活習慣病を引き起こしてきます。特に高血圧症との関連性は古くから報告され、血圧を下げる薬の効果が得られにくいという特徴があります。
他にも、冠動脈疾患や脳卒中の発症にも関係するとされています。私もかつて、重度の心不全に陥った患者さんを担当したことがあります。
太った男性がかかる病気というイメージがあるかもしれませんが、やせていても、女性でもかかる病気ですので、昼間眠気が強くておかしいな、とか家族に息が止まっていると言われるようでしたら、一度ご相談ください。