一般内科
一般内科
一般内科では、日常生活の中で比較的遭遇しやすい急性症状や慢性疾患の継続的な治療とコントロールを行います。また、一つ一つの症状は軽くても実は隠れた病気がある場合もあり、そういう病気を正確に診断して適切な治療に結びつけることも重要な役割です。専門的な高度医療が必要な場合は、専門の医療機関へご紹介し適切な治療を受けていただけるようにする役割も担っています。
以下によく見られる症状を挙げています。
複数の症状が出ていて何科を受診したらよいかわからないといった場合など、お悩みの際はお気軽にご相談ください。
脂質異常症とは、血液中の中性脂肪(トリグリセライド)や「悪玉コレステロール」と呼ばれるLDLコレステロールが増えたり、「善玉コレステロール」のHDLコレステロールが減ったりした状態のことをいいます。
最近は、健診で異常を指摘されたということで受診されることの多い病気です。以前は高脂血症と呼ばれていたのですが、低HDL血症も動脈硬化と関連することから「高脂」という言葉がそぐわなくなったため、脂質異常症という診断名が使われるようになっています。
この状態を放置していると動脈硬化がゆっくり進行し、脳梗塞や心筋梗塞といった血管系の病気がおこりやすくなります。また、肝臓に脂肪がついてしまうことで脂肪肝になったり、中性脂肪が高いと膵臓に大きな負担がかかって急性膵炎になったりすることもあります。
脂質異常症を診断するには、空腹時採血が原則として必要です(「空腹時」とは、10時間以上の絶食を行って採血することです)。食事から摂取される脂肪の大部分は中性脂肪で、食後約6時間で中性脂肪値はピークとなります。さらにアルコールは中性脂肪の合成を高め、飲酒後12時間以上中性脂肪を増やし続けます。
したがって正確な測定には、検査前日は高脂肪食や高カロリー食を避け、禁酒し、前日21時から食べずに来院していただき午前中に採血することをお勧めしています(ただし、水やお茶などカロリーのない水分の摂取は可能です)。
検査値の目安はLDLコレステロール 120 mg/dL以上、中性脂肪(トリグリセライド)150 mg/dl以上、HDLコレステロール 40 mg/dl未満です。しかし、この数値は絶対的なものではなく、同時に抱えている病気や危険因子、年齢によってはより厳しくコントロールすることが必要な場合もあります。具体的には、冠動脈疾患(心筋梗塞や狭心症)、糖尿病、慢性腎臓病、非心原性脳梗塞、末梢動脈疾患があるかないか、さらに喫煙、高血圧、低HDLコレステロール血症、耐糖能異常、冠動脈疾患の家族歴といった危険因子があるか?ある場合はいくつ該当するか?などを踏まえてリスクを判断し、治療方針を決めていきます。
脂質異常症の発症には、過食、運動不足、肥満、喫煙、過度な飲酒、ストレスなどが関係しているといわれています。「内臓脂肪型肥満」ではLDLコレステロールや中性脂肪が多くなり、HDLコレステロールが少なくなりやすい傾向があります。
HDLコレステロールは運動不足で低下することも知られています。したがって、脂質異常症の治療は生活習慣の改善が基本であり、禁煙、標準体重の維持、食生活の見直し、1日30分以上の有酸素運動などを行っていただくことが第一歩になります。それでも不十分な場合や、先に述べたリスクが高い方の場合は薬物療法が必要になります。
当院では、採血検査だけではなく脈波検査や頸動脈エコー検査で動脈硬化の程度を知ることができます。健診で異常を指摘された場合など、お気軽にご相談ください。
慢性腎臓病(CKD)とは、何らかの理由による腎臓の障害が3ヶ月以上持続する状態のことです。
当初は症状がほとんど出現せず、尿検査で蛋白尿があること、採血検査で腎機能異常(eGFRが60 ml/min/1.73m2未満)があることにより診断されます。高血圧や糖尿病などの生活習慣病が原因となるほか、鎮痛剤などのお薬の頻用も原因となります。
慢性腎臓病は、心筋梗塞などの心血管系の病気のリスクが高くなることが知られています。また無症状のうちに腎機能が低下し、透析や腎移植を必要とすることも少なくありません。従って、慢性腎臓病のある場合、生活習慣病の治療を積極的に行い進行を防ぐ努力を惜しまないことが大切です。
血液中の尿酸値が7.0 mg/dlを超えた状態を「高尿酸血症」と呼びます。高尿酸血症が長く続くと、「痛風発作」や「尿路結石」をはじめとするさまざまな症状を引き起こします。痛風発作とは、関節内に溜まった尿酸の結晶が原因となって起こる関節炎で、ある日突然腫れと激痛が起こります。症状の出る場所としては、足の親指の付け根が最も多く、ストレスや激しい運動、酒や肉の取りすぎなどで尿酸値が急激に変動することがきっかけになります。痛風発作が起きたら、炎症を抑える薬剤を服用していただき痛みを和らげる治療を行います。発作は通常1~2週間程度で治まります。しかし、根本原因である高尿酸血症を放っておくと発作を繰り返すため、発作がおさまってから尿酸値を下げる治療を開始します。尿路結石は、尿に溶けきれなくなった尿酸が石のような結晶となって背部から股にかけて激しい痛みをひきおこすことがあります。
高尿酸血症は、メタボリックシンドロームやアルコール、肉食などの食事・生活習慣と強く関連しますので、こうした習慣を見直すことが大切です。さらに、慢性腎臓病(CKD)を合併しやすく、動脈硬化を進行させて心筋梗塞や脳卒中などを起こすリスクを高めることが知られているため、きちんと対応することが大切です。
不眠症とは、寝つきが悪い、夜中に目が覚める、朝早く目が覚める、眠りが浅くぐっすり眠った感じがしない、といった症状が続き(目安は1ヶ月以上)、日中に体の疲れ、やる気がでない、集中できない、食欲がなくなる、などさまざまな体調不良がおこる病気です。日本人の約5人に1人が、こういった症状で悩んでいるといわれ、小児期や青年期にはまれですが、20~30歳代で始まり、中年、老年と年齢を重ねることで大幅に増加していきます。
不眠の原因には、ストレス、こころやからだの病気、治療薬の副作用、酒・たばこなどの生活習慣、などさまざまで、原因に応じた対処が必要です。場合によっては原因を取り除けない場合もあるでしょう。そういった場合は、睡眠薬(眠剤)を服用していただくケースが多いと思います。睡眠薬はクセになる、どんどん増えていくから怖い、といった声をよく伺いますが、最近の睡眠薬はそういう心配はあまりありません。それに、不眠症で日中生活の質が低下していることの方が問題です。我慢せずにお気軽にご相談ください。
多くの方が経験する症状ですが、大きくわけると「一次性頭痛」と「二次性頭痛」があります。
原因となる病気などがなく、「同じような痛み方を繰り返し経験している」という場合などが該当します。主に片頭痛、緊張型頭痛、三叉神経・自律神経性頭痛の3つのタイプがあります。
頭の片側(または両側)が脈打つようにズキンズキンと痛むタイプの頭痛です。吐き気や嘔吐を伴うことがあり、光・音に敏感になるなどの症状があります。頭痛が起こる前に、目の前がチカチカする、目が回るなどの前兆が現れることがあります。痛みのレベルは強く、数時間から長ければ数日痛みが続く場合もあります。運動したり入浴したりすると悪化することが多いです。20~40歳代の女性に多くみられ、月経時やその前後に発症するケースもあります。
後頭部やこめかみ、額を中心にジワジワ締め付けられるように痛むタイプの頭痛です。「重だるい」、「グーっと圧迫される」などの表現をされる方が多いです。痛みは一日中続く場合もありますが、片頭痛のように吐き気や嘔吐を伴うことはなく、運動で痛みが悪化することもありません。痛みのレベルは軽~中程度で、日常生活に支障が出ることも少ないです。デスクワーク、コンピューターにかじりつく、などで発生することも多く、ストレッチだけでよくなる場合もあります。
頭の片側に頭痛だけでなく目や鼻、耳などに異常が現れるタイプの頭痛です。典型的な群発頭痛の症状は、目の周囲からこめかみのあたりにかけての激しい痛みに、目の充血、涙、鼻水、鼻づまり、まぶたが下がるなどの症状を伴います。右か左のどちらかに症状が偏るのが一般的です。痛み発作は1日に2~8回繰り返され、数日から長い場合は3ヶ月ほど集中して続きます(群発期)。頭痛が起こらない時期を経て、また群発期がやってくるのが典型的ですが、群発期が年中続く場合もあります。睡眠中に起こることが多く、激痛で目が覚めることがあります。
病気などの原因があって、それにより引き起こされる頭痛です。特に見逃すと危険性が高い病気としては、くも膜下出血、脳腫瘍、慢性硬膜下出血、高血圧性脳症、髄膜炎、椎体動脈解離、などがあります。
特に、小児または高齢ではじめて発症した場合、発症が突然ないし 6ヶ月未満の場合、一次性頭痛にみられる典型的症状に合わない,今までにない症状,局所の神経所見があるか?発疹,神経脱落所見,嘔吐,高血圧、感染、外傷があるか?などを参考にして判断を行い、緊急対応が必要と考えられる場合は基幹病院へ紹介します。結果的に一次性頭痛である場合もよくありますが、二次性頭痛を否定できない場合は、まずその検査が優先されます。
骨粗しょう症とは、骨の強度が低下してもろくなり、骨折しやすくなる病気です。自覚症状はほとんどありませんが、進行すると背骨がつぶれるように骨折(圧迫骨折)して、背中や腰の痛みを感じたり、背中が曲がったりします。ちょっとしたことで脚の付け根の骨(大腿骨頸部)が折れると、歩けなくなって介護が必要になってしまう場合もあります。
骨粗しょう症の原因としては、カルシウムの摂取不足、カルシウムの調整機能の低下、女性ホルモンの低下、加齢による骨の量の減少、生活習慣(喫煙、飲酒、運動不足)、ほかの病気や薬剤の影響などがあります。特に女性ホルモンは骨にカルシウムを蓄える作用があるので、女性は閉経後に骨粗しょう症が多くなります。また、ステロイド剤など骨を脆くするお薬を長期に服用しなければならない場合にも骨粗しょう症がおこりやすくなります。当院では、簡易検査ができるレントゲン装置を導入していますので、お気軽にご相談ください。その他、骨粗しょう症だと思っていたら、じつは血液の病気で骨がもろくなっていたというケースもしばしば経験しますので、当院では定期的な採血検査をお勧めしています。
骨粗しょう症の治療は薬物療法が中心になります。特によく使用されるのはビスホスホネート系薬剤です。このお薬には歯周病などの歯の病気があると顎の骨を悪くする副作用が出ることがあるので、投薬前に歯科受診をお勧めしています。
認知症とは、脳の病気や障害など様々な原因により、認知機能が低下し、日常生活全般に支障が出てくる状態をいいます。脳神経が変性して能の一部が萎縮していくアルツハイマー型が有名ですが、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害によって発症するタイプなど、いろんなタイプがあります。
認知症の症状は、「もの忘れ(記憶障害)」が中心ですが、お年を重ねると誰しももの忘れしやすくなり、認知症との区別が気になるところだと思います。明確な区別が難しいケースもありますが、以下の点がポイントとして挙げられます。
アルツハイマー型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症などの変性性認知症は根本的な治療が困難で、できるだけ進行をゆっくりにし、症状をやわらげることを目標にします。薬物療法だけでなく、リハビリテーションやデイサービスなどを組み合わせていくのが一般的です。しかし、一部の認知症では治療によって改善する場合があります。私が経験した例では、採血検査の結果ビタミンB12が欠乏していたため注射薬で補充するだけでよくなったケースもありますので、お気軽にご相談ください。